天使になった子どもたちが教えてくれたこと

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幸せとは、与えられるものではなく気づくもの
・・・そして幸せは、いつでも足もとに落ちている

(渓太郎を抱いたまま、ここから逃げだしてしまおうか・・・。 もう、全てを忘れたい・・・)

そのとき頭の中に浮かび上がっていたのは、病室の窓から飛び出していく自分の姿。

渓太郎を抱きかかえ、地面に降り立った私は、裸足のまま走って、走って、走って・・・一気に病院の敷地を抜け出し、車が行きかう県道まで行きついたところで我に返った。

(そんなことをしたら、渓太郎はあっという間に死んじゃう・・・)

小児腫瘍病棟のベッドの中。

余命宣告を受けた渓太郎を抱きしめる私は、一秒先の未来さえ見えなくなっていた。

 

そんなある日のこと。

看護師に呼ばれ、ひとりナースステーションに向かって廊下を歩いていると、視界の左端に1人の男の子の姿が映りこんできた。

通称「お兄ちゃん部屋」と呼ばれる大部屋の中にいたその小学生は、ベッドの上であぐらをかき「ポケモン」のアニメを見ていた。

食いつくようにテレビを見ながら大笑いしているその姿に、私は心の奥から、うらやましさを含んだ激しいくやしさが湧き上がった。

(なぜ、そんなに笑えるの! あなたは学校にも行けないし、友達に会うこともできないじゃない! それなのにどうして!)

負の感情に支配された私は、その場に立ち尽くしたまま身動きできない。

 

しばらくして、ひとりの看護師が近づいてきたかと思うと、私の隣にピタリと並んだ。

私は思わず、胸の中いっぱいに膨れ上がった気持ちをその看護師にぶつけた。

「ポケモン、楽しそうですね・・・。どうしてあんなに笑えるのよ!」

すると看護師は、「お母さん」と優しく私を呼ぶと、こう続けた。

「ここにいる子どもたちはね。 ポケモンのアニメを1回見られただけでも、『今週もまた、ポケモンを見ることができた!』って、感謝することができる子どもたちですよ。

普通に生活していれば、『そんなことできて当たり前だ』と思ってしまうことの一つひとつに、感謝ができる子どもたちです」

 

(・・・・当たり前だと思ってしまうことの一つひとつに・・・・)

 

とっさに病室に駆け戻った。

そして、ベッドの中の渓太郎を抱き上げると、その小さな体に向かって思い切り叫んだ。

「渓ちゃん・・・生きていてくれてありがとう。お母さん、それだけでもう十分に幸せだよ」

 

その時、ようやく気が付いた。

— 幸せは、ここにある。

 

大切な人が生きていることも、抱きしめた時に温もりを感じられることも、笑顔が見られることも・・・・当たり前ではなくて、すべては幸せの連続だったのだと・・・・。

 

周りを見渡しても、決して幸せは見つからない。

だって幸せは、自分の足もとに落ちているのだから・・・・。

 

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